こんにちは!ぎんぴ&ちっぱです!
みなさんはコーヒー豆を買うときに『ウォッシュド』や『ナチュラル』といった表記を目にしたことはありませんか?これは【精製方法】といって収穫したコーヒーチェリーから種子 (コーヒー豆)を取り出して乾燥させる工程のことで、産地(国名)や農園名と同じようにそのコーヒー豆の味を左右する重要な情報になります。

種子(コーヒー豆)の取り出し方まで考えて、美味しいコーヒーを作ろうとしているんだね!?すごい!



味や風味を意識して精製方法を決めているというよりは、その地域の特性にあった精製方法を採用しているところが多いんだ。雨が少なく晴れが多い地域だったり、水が豊富な地域だったりね。



精製は欠点豆を取り除いて、発生を防ぐために行っているよ。
今回はコーヒー豆の精製方法について学んでいこう!


この記事のポイントを抽出!
質問 | 答え |
---|---|
精製方法ってなに? | 生豆(コーヒーチェリー)を収穫後に果肉などを取り除いて乾燥させる工程のこと |
なぜ精製が必要なの? | 飲める状態にするためと保存しやすくするため。収穫したての豆は果肉に包まれていて、そのままでは焙煎も保存もできない。 |
精製方法にはどのような種類があるの? | 代表的なのは以下 ・ナチュラル(自然乾燥式):果肉ごと乾燥 ・ウォッシュト(水洗式):果肉を洗い落とし発酵させてから乾燥する ・ハニープロセス:果肉の一部を残して乾燥する |
精製方法でコーヒーの味にどのような影響があるの? | ・ナチュラル:甘味やフルーティーさが出やすい ・ウォッシュト:すっきりした味 ・ハニープロセス:バランスの良い風味 |
精製方法はどうやって確認するの? | 商品購入の際に産地や焙煎度と共に記載されている場合が多い(お店によって異なる) |
精製方法は気にした方が良いの? | もっと自分好みのコーヒーを飲みたい人は、知っておくと良い |
まずはコーヒーチェリーの構造を理解しよう!
精製方法とはコーヒーチェリーから種子(コーヒー豆)を取り出す工程といいましたが、精製方法の違いを理解する上でそもそもコーヒーチェリーの中身がどうなっていて、種子(コーヒー豆)はどう入っているのかを知っておくと各精製方法の目的も理解しやすいと思います。
コーヒーチェリーの断面図は下の絵のようになっています。それぞれの名称とどういったものなのかを表にまとめました。
名称 | どういったものか |
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スキン(外皮) | コーヒーチェリーの最も外側の層を指します。赤や黄色に熟す部分でコーヒーの果実として目にするのがこのスキンとなります。 |
果肉(パルプ) | コーヒーチェリーの果肉にあたる部分で、種子(コーヒー豆)とスキン(外皮)の間にある柔らかくジューシーな層です。桃やさくらんぼの”実”にあたる部分です。 |
種子(コーヒー豆) | 私たちが日常的に「コーヒー豆」と呼んでいるもののことです。厳密には豆ではなく果実の中にある種の部分になります。 |
ミューシレージ(粘液質) | 種子を包んでいる粘り気のある層のことです。糖分やペクチンを多く含んでいて、甘みやフレーバーの要素を豆に与える重要な役割を果たしています。 |
パーチメント(内果皮) | 種子を包んでいる薄くて硬い皮のような層のことです。ミューシレージのすぐ内側にあり、種子を守る殻のような存在です。 |
シルバースキン(銀皮) | 種子を覆っている最も内側の薄い膜のことです。焙煎する前の「生豆」にはシルバースキンがまだ残っていて焙煎時に熱によって焼けてはがれ、チャフとして飛びます。 |



僕の名前はこの”シルバースキン=銀皮(ぎんぴ)”から取りました!
精製方法によるコーヒー豆への影響について





精製方法っていうのはコーヒーチェリーから種子を取り出して乾燥させるってことはわかったけど、種子の取り出し方や乾燥の方法で何が変わるんだろう?



産地や農園名と同じように表記されているってことは、私たちが飲むコーヒーにも大きな影響があるってこと?
そうなんです。私たちが飲むコーヒーの味、香り、質感に大きく影響があるんです!
でもコーヒー豆を精製している人たちは、飲む人に届くフレーバーを考えながら精製方法を決めているわけではなく(もちろん中にはそういう方もいらっしゃいます)、多くは欠点豆(問題がある豆)を取り除くことを考えていたり、コーヒーの品質だったり商品としての価値を上げようと思ってやっていることが多いのです。
これから紹介するナチュラル方法だったりウォッシュト方法による精製によって、豆本来のフレーバーが出やすかったり、すっきりとした味になったりとコーヒー豆に与える影響は大きいです。
いくつかある精製方法の種類とその特徴を勉強しながら、自分好みの味を出してくれる精製方法を知ってコーヒー豆を買うときに役立てましょう!
精製方法の種類について
次に精製方法の種類別に詳しくみていきましょう!
ナチュラル





ナチュラル・・・?自然って意味?



そうそう自然乾燥式とも呼ばれるよ。寝っ転がって日光浴するんだ



私たちがのっているこの乾燥棚は『アフリカンベッド』と呼ばれているの。天気が良く乾燥している地域で行う昔からある伝統的な精製方法よ。
・果肉がついた状態で天日干し
・果肉の糖分がコーヒー豆に影響して独特の味わいに
ナチュラル方式は乾燥式とも呼ばれていて、コーヒーチェリーを天日干しにして乾燥させ水分量を減らします(腐らせないように)。均等に乾燥させる必要があるので、定期的に豆を転がす必要があるのです。
元々コーヒー豆自体には水分が含まれていて、60%ほどと言われていますが腐らないように乾燥させて大体10~12%にまで落とします。こうすることでカビや発酵のリスクを抑えられる、酸化は風味劣化を防ぎやすい、焙煎時の熱の入り方が安定するなどのメリットが生まれます。
地域によっては水が手に入りにくいところがあって、そういった場所ではナチュラル精製方式でコーヒー豆を精製しています。ブラジルやエチオピアの一部の地域で採用されています。



果肉を付けたまま乾燥することで、果肉の糖分が種子に移って特有の甘味やフレーバーが出ることが多いのが特徴だよ!



乾燥させたあとはどうするの?
乾燥期間は地域や天候によって左右されますが、大体10~30日間ほどかかります。乾燥したあとは果肉やパーチメントを脱穀して種子(コーヒー豆)の部分を取り出します。この種子を取り出す作業はどの精製方法でも必要な処理になります。



これで私(生豆)の誕生よ!
ウォッシュト





ウォッシュトっていうくらいだから、水を使った精製方法ってことだよね?ウォッシュトの方が綺麗なコーヒー豆が作れそうだね。
・水を張った水槽の中で豆を発酵させ果肉を取り除く
・果肉や粘液質を綺麗に除去できるため、酸味の繊細な表現が可能なクリアな味わい
まずはスキン(外皮)と果肉(パルプ)をパルパーという機械を使って取り除いていきます。これをパルピングと言います。
中の種子(コーヒー豆)とミューシレージ(粘液層)だけが残った状態となり、次の発酵処理に進みます。綺麗な水を張った水槽に豆をいれて発酵させて、豆に残ったミューシレージを分解していきます。
発酵処理が終わると水を使って洗浄して豆を綺麗にしていきます。ウォッシュトの場合、水を使って豆を綺麗にできるのでナチュラルに比べて豆の品質の管理がしやすく、クリアな味わいになります。
あとはナチュラル精製と同じように水分量が10%~12%になるまで乾燥させ、脱穀したら生豆の出来上がりです!
ハニープロセス





ハニープロセスってもしかしてコーヒー豆のハチミツ漬けのことなの??



違う違う、コーヒ豆を乾燥させるときに砂糖をまぶして、まるでハチミツのように甘く・・・



どっちも違うよ
ハニープロセスについて見てみよう!
・ミューシレージ(粘液層)を豆に残したまま、天日干しして乾燥させる精製方法
・ナチュラルとウォッシュトの中間的な手法
・ミューシレージ(粘液層)をどれだけ残すかでホワイトハニー、ゴールデンハニーなど呼び方やコーヒー豆への影響が変わる
まずハニープロセスの「ハニー」の由来の前に、このハニープロセスはどのような精製方法なのかを知ると由来も分かるようになります。
ハニープロセスでは、ウォッシュトと同様にパルピングによりスキン(外皮)と果肉(パルプ)を除去するのですが、このときミューシレージ(粘液層)は残した状態でナチュラルと同様に天日干しして乾燥させます。
この豆に残ったミューシレージによってコーヒー豆へ独特な風味や味わいが移ってコーヒー豆の甘みや豊かな風味を引き出す精製方法です。



ポイントは「ミューシレージ」ってことだね!
その通りです。ハニープロセスの「ハニー」はミューシレージ(粘液層)が、ねっとりと甘く、見た目や質感がハチミツに似ているところから名前が付きました。ウォッシュトとナチュラルの中間的な精製方法と言えます。



ミューシレージを付けた状態での乾燥が重要ってことは、このミューシレージの残り具合でコーヒー豆への影響が変わるってことかな?
その通り!ハニープロセスはミューシレージの残し方によって〇〇ハニーといったように呼び方が変わるところが面白いところですね。以下にまとめてみますね。
ハニープロセスの種類について
名前 | ミューシレージ除去量(取り除く量) | 味わいの特徴 |
---|---|---|
ホワイトハニー | 約90%以上 | クリーンで繊細 |
ゴールデンハニー | 約75%~80% | 明るくジューシーで甘さも良い |
イエローハニー | 約50% | まろやかで飲みやすい |
レッドハニー | 約20%~25% | フルーティでコクがある |
ブラックハニー | ほぼ全量残す | 濃厚で複雑、甘さが強い |
まとめ



その地域に適応した精製方法があり、私たちの飲むコーヒーへの影響が分かりました!精製方法違いのコーヒー豆を飲み比べて実感したいと思いました!
コーヒー豆は、ただの「豆」ではなく、どんなふうに処理されるかで全く異なる顔をみせてくれます。ナチュラル精製はジューシーでベリーのような果実感と華やかな甘さが魅力、ウォッシュトはクリーンで透明感のある味わい、ハニープロセスは甘味、コク、酸味のバランスを楽しめるなどなど。
それぞれの手法には、自然環境や生産者の工夫、そして文化的背景が織り込まれています。どの精製方法が「正解」なのではなく、自分自身の好みに合う一杯に出会うことが大切です。
その一杯には、遠く離れた土地の風と光、そして一つひとつ摘んでくれた方々の想いが詰まっています。違いを知ることは、味わいをもっと深く楽しむ第一歩です。ぜひ、いろいろな生産方法の豆を、じっくりと味わってみてください!